おもちゃ美術館や店舗の木育広場を手がける材木店のShopBotの活用術

2023/3/28

写真右:平野さん 左:菊池さん

東北エリアではまだまだ少ない導入率のShopBotを、東北初として2017年に導入した株式会社小友木材店さん。「1人の職人」としてShopBotを運用し、目指しているのは『世界で一番、「カッコいい」木材店』。そんな創業1905年の老舗木材店で、インタビューの画面越しからも伝わる人当たりの良さと巧みな話術を兼ね備えた平野さんと、ShopBotをゴテゴテに使いこなす菊池さんのコンビが、活き活きと事業内容やShopBotについて語ってくれました。

新しい技術の活用に興味があり、出会ったShopBot

平野:
木材加工(材料販売)をメインに、店舗のリフォーム&リノベーションや不動産業を扱っています。割合としてはそれが70%程で、20%が麹ボックスや検温器スタンドなどコンスタントに頂ける注文商品の制作、残りの10%が木材の販売をしています。元々、線路の枕木(鉄道の下に敷く木)の製造をしていました。時代の流れと共にコンクリートを使うようになり、枕木製造の需要もなくなっていき、元々あった土地を不動産に転用して事業を拡大しました。現在の4代目がテクノロジーの活用を積極的に行うようになり、代表の知人が「小友さん好きそうなのあるよ!」と教えてもらったことをきっかけにShopBotと出会いました。

導入は2017年と、もう5年も前なのですが、実機見学をしてすぐに気に入り即購入したのを今でも覚えています。魅力としてはやっぱり人の手より格段に早いスピードです。他のCNCルーターにくらべて半分以下の金額だったのも購入を決定したポイントでした。

ShopBotを運用した代表する事業として、地域の木材で製造したおもちゃと遊びで花巻の文化と豊富な自然を伝える体験型木育施設「花巻おもちゃ美術館」(注2)の設立や運営に携わっています。「東京おもちゃ美術館」に携わったデザイナーさんがデザインしたのですが、花巻や岩手県内で採れる地域材の加工・施工を請け負いました。今となってはお客さんに提案する際のモデルルームのような存在になっていて、会社にとってはとても重要な事例になりました。

(注2 株式会社小友木材店が運営・内装を手がけた花巻おもちゃ美術館のこと: https://www.hanamaki-toymuseum.com/)

平野:
相談から納品までのプロジェクトの流れのきっかけは代表づてにくる案件が多いです。その後、お客さんとキャッチボールして要望を聞き、最終的に形にします(飲食店の店舗やキッズスペースの内装など)。そこから口コミやSNSで広がって再度依頼がくることが多いです。ありがたいことに花巻おもちゃ美術館のSNSを見て依頼をしてくれる方が特に多く、社内にキッズスペース作りたい、既存のものを変えたいなど声が届きます。こちらとしても、それぞれのニーズに柔軟に対応ができるので需要があると感じています。幸いにも知名度が高く、知っている方も多いのでありがたいです。依頼主の中には企業、宿泊施設、県の施設(市民公園など)があり、木育=小友木材店とお客さんの中でリンクしてくれているようです。ちょうど現在も3つの公園の制作に携わっています。結構忙しくさせてもらっています。

ShopBotを使ってつくる試行錯誤の日々

平野:
ShopBotに関連する業務は基本的には担当者が居て、自分が営業と提案、菊池が設計・ShopBotのオペレーター・SNSでの情報拡散、川村が製品の組み立てを担当しています。

菊池:
ShopBotのスキルに関しては、自分は卒業前にアルバイトで入社していたので扱い事態には慣れていましたが、3DCADは卒業後に社員として入社してから習得して、デザインスキルも実践の中で磨きました。苦労した点は、木育広場のデザインで多くを造っているとその先の新しいパターンが思いつかないことがあり、今までと違うものにしたい時は難しさを感じました。平野と相談しながら進めることが多いです。

稼働に関しては平均すると週3〜4回です。ただ加工量が多いので毎週動かすのではなく、1週間稼働をして全ての加工を終わらせてから、次の1週間は組み立てに費やすというようなパターンが多いです。この方が効率的に作業ができて進み具合が早いんです。

工房での作業の様子

平野:
製品に関しては、冒頭でも話しましたが、枕木製造の需要が減ってからは床やカウンターの内装に枕木を使用して活用するようにしています。見えない躯体部分をShopBotで作り、そこにランダムに枕木を貼って作る製品が多いです。

また最近多いのはShopBotで床のパネルを切り出して、現地で組み立てる事業をしています。単発のイベントや店舗など、1日で設置ができるので、ちょっとしたリフォームがすぐにできます。この「1日で施工ができる」を売りにしているのですが、ShopBotがあるから効率的にできることで、こちらとしても多くの仕事をこなせるし、施工先も早く完成するから喜んでくれます。ここに行き着くまでは課題もあって、床パネルを初めはジグソーパネルみたいに複雑にして組み合わせるデザインにしてたんですけど、肉を挟んでしまいそうな問題や設置が大変(時間がかかる)点が問題が重なり今のシンプルな形に落ち着きました。

ShopBotで加工したカウンターのフレームに、自社の材料のラフな板材を取り付けた。お店のネームもShopBotで加工。

設置が簡単でスピーディーにできる床パネルを用いることで、屋外のイベントにも対応できる。

菊池:
ShopBotを使い大変だった仕事は細かい作業が多い案件です。以前7種類の樹種を使ったモザイクアートを作ったとき、全体サイズが600×500㎜のパズルを2枚、ピースのような形のものを磨いてはめる作業があり加工に時間がかかりました。後になってレーザー彫刻機を使えば良かったと感じたのですが、ちょうどこれがShopBotを使った大きな仕事である美術館の施工前で、ShopBotの得意不得意を見極めている最中だったので勉強になりました。

これをきっかけに機械の使い分けに関して色々とわかり、ShopBotを使う仕事と、そうでない仕事、使い分けるようにしています。直線は製材用モルダー、細かい作業はレーザー彫刻機を使用しています。ShopBotを、自社用に使いやすくカスタマイズしている部分は特になく、治具を使わずそのまま使用しています。取り外し作業の際にタブの切り取りは効率を良くしたかったので剪定ばさみを使って行っています。仕上げのタブをルーターではじくこともあります。

そんな小友木材店さんにShopBotを導入してからこれまでの歴史を語ってもらいました。

始まりは家具など小さいスケールから。今は木育広場がきっかけで「おもちゃ美術館」のオープン

平野:
導入してすぐに菊池が在学中にインターン(アルバイト)で入社し運用を開始しました。初めはテーブル・組み立て家具・什器などの制作をしてだんだんと慣れていきました。各県の木で構成をし、県ごとにテーブルが分裂するデザインの「東北6県テーブル」を作ったのも印象に残っています。作品を作るとSNSなどに投稿して、情報を拡散しています。

導入して2年ほど経った頃、トヨタカローラさんからの依頼で作成した木育ひろばがオープンしました。これが幸いにも会社向けのキッズスペースの広告塔になってくれて地域の方々に自分達が作るキッズスペースと知ってもらうきっかけとなりました。関連してNetzトヨタさんなどからもお声がけいただき、仕事に繋がりました。ShopBotでの加工も順調に増えていき、右肩上がりでした。

そして、導入後3年目に花巻おもちゃ美術館がオープンしました。やっぱりこの仕事が一番印象に残っています。おもちゃ美術館は曲線の加工が多く1/4はShopBotを使用したので大活躍したんです。ShopBotなしでは作り上げることができなかったです。これをきっかけに、「おもちゃ美術館のサテライトを店舗で作ってみませんか?」という感じで提案することが増えました。

東北バルの「東北6県テーブル」

トヨタカローラ花巻本店の木育スペース

平野:
1年ほど前には温泉街にある宿泊施設内の木育広場制作を請け負いました。GoToトラベルのクーポン利用で花巻おもちゃ美術館にお客さんが増えたのですが、その方々がどこに宿泊をしているのかリサーチをし、実際にその宿泊先を訪問しました。花巻おもちゃ美術館を訪れる方々が宿泊する場所に木育広場などがあれば、お客さんが増えて地域の活性化に繋がるのではないかと思い、子供向けの施設作りを提案してアイデアの実現が決まりました。その後は他の宿にも「おもちゃ美術館のアンバサダーホテル(宿)にならないですか?」という形で直接話をして、数件お仕事をさせてもらいました。美術館をきっかけに目に見えて子供向け施設の良さが伝わっているようで、とても嬉しいです。

美術館から宿泊施設に仕事が移り、実績や口コミが増えたせいか、行政関連のお仕事も増えています。直近では市民公園の制作を進めており、ShopBotの稼働率は今になく高いです。スタッフが成長して仕事が早くなり、こなせる数も増えました。ただ、やっぱり人手不足なんですよ。1ヶ月に1案件ほど大きい仕事の依頼がくるのですが、人がいればより早く、さまざまな方からの依頼を請け負うことができるので少しもったいないなと思います。

温泉宿のキッズスペース。どれも組み立て家具&遊具で、1日で施工。

ShopBotと共に木育できる環境を広げていきたい

平野:
これからチャレンジしたいことは県内に花巻おもちゃ美術館のサテライトや木育広場作りを広げていきたいです。行政関連の仕事では、家の近所にそういった広場がある環境の子供たちを増やしたいです。それには「ShopBotという職人」が必要不可欠で、他県などもこの形を真似して作ったりすれば良いのになと思います。

あと、これは独自のバランスなんですが、新しい人材(デジタルを巧みに操ることができる若い世代)と木を知っている人材が必要だなと感じます。1年ほど前に、ばうむさん(注2)のShopBotを使用させてもらい、徳島おもちゃ美術館に設置するものを切削したのですが、その際に自分よりも若い世代と共同で仕事をして実感しました。自分みたいなおじさんだけじゃダメで、例えばおじさんだけだと発想がシンプルな作りのログハウスみたいになってしまうような気がしています。もちろん一概に言えないですが、自分としては、若い世代の新しいデザインは固定概念にとらわれず斬新なアイデアで面白い発見があります。以前、菊池がデザインした椅子がとても売れたこともあったりしたこともあり、お互いに耳を傾けながら協力して行うことは大切だなと常々感じます。

(注2:高知県にあるバウム合同会社さんのこと:https://baum-llc.com/)

菊池さんがデザインした椅子。イベントでとても人気。

大工さんも、ShopBotも、頼れる1人の「職人」

平野・菊池:
ShopBotをひとことで表すと「高性能な軽自動車」もしくは、「1人の職人」です。導入前と比べて付加価値付けができるようになりました。例えば、1,000円〜2,000円の板が、アイデア次第で簡単に桁を1つ上げることができます。お客さんともデータでのやりとりから始まり、切削や設置という全ての工程において、スピード感がある対応ができるようになった点が導入前と比べて一番変わった部分だと思います。専門的な職人はいない会社なのですが、工具の使い方や独学での実践の中で、工務店から量産のものや曲線のもの、看板制作、外注までもを請け負えるようになりました。

近隣に同じような立ち位置の会社さんがいても競合他社とは思っておらず、連携して仕事してる感覚です。自分達みたいにShopBotでの切削を武器にしているところもありますし、大きなCNCを持っているところはその規模や切削技術を活かした仕事をしている感じですかね。大きなCNCでしかできないものや、効率が良い作業は逆に外注で依頼することもあるんですよ。そうやってそれぞれが最適な仕事をしているので、ライバルではなくみんなが仲間で協力して仕事をしている良い関係という感覚です。これからも自分達には必要不可欠な「頼れる1人の職人」であるShopBotと一緒に突き進んでいきたいです。


株式会社小友木材店 
営業部 部長/花巻おもちゃ美術館 館長 平野裕幸さん
営業部 菊池美佳さん

〒025-0075 岩手県花巻市花城町3−50

WEB: http://www.otomoku.co.jp/
facebook: https://www.facebook.com/otomoku
twitter: https://twitter.com/otomoku
ShopBot導入機種: PRSalpha 96-48-8

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